2015.02.01 Sunday

雷紋青磁

       
        

少し前に、徳島のとーまさんがなかなか質の良さそうな青磁陶片を紹介されていた。そういえばうちにもあったな…ということで、少々遅くなったけれどコラボしてみよう。もの自体は確か2011年くらいに拾ったもの。近年は質のいい陶片は滅多に見なくなったし、まして青磁ともなるとかなりレア。これはひと目見ただけでお持ち帰り決定の一品だった。全体の雰囲気から江戸もので間違いなし。陶片の大きさは測り忘れ(押し入れにしまい込んでしまったので)だが、長径で約10センチ強というところ。ものは膾皿だろう。タイトルの通り、内側に雷文も囲みがあり、欠けてしまっているが見込みには五弁花、縁には植物文様が描かれていたようだ。青磁釉がかけられているのは外側側面のみで、底は内側と同じような淡いクリーム色の仕上がり。高台に「富」と「長」の文字が読み取れるが、これは江戸陶片によく使われる「富貴長春」の語句だ。染付の膾皿の欠片はたまに見かける。でも、それらと比べてもこれは、元々はけっこう良い品だったと思う。


             
2015.01.06 Tuesday

たんころ(明かりを灯して2)

        

hiroimono、2015年最初の更新です。本年もよろしくお願いいたします。
さて、今回のものは昨年の晩秋くらいに拾ったもの。海岸の砂の中に底を上に向けた状態で埋まっていた。見えていたのは底の一部だったけど、その雰囲気から「これは灯明皿かも?」と思い、すぐに掘り出した。すると砂の中からコロンと出てきたのは、何やら灯明皿とは違うもの。いや、でも灯明皿に通ずるような感じもあるし、これネットか何かで写真を見たことあるぞ〜? ということで、帰って調べてみると…判明したその正体は「たんころ」。これも灯明の一種だ。


        

たんころは別名「ひょうそく」とも言い、灯明皿から発展した道具と言える。皿部分に油を入れ灯心を浸して火を灯すのは灯明皿と同じだが、たんころでは中央にある突起に灯心を通して、そこで火を灯すのだ。形には今回のもののような深皿形のほか、皿の下に台のついたものなどもある。今回のものの大きさは、直径が60ミリ、高さが30ミリで、比較的小さめのものと思う。全体に鉄釉がかけられていて、底の部分は無釉だ。また皿の内側にも釉の剥げた部分がある(作りが雑なため?)。たんころがどのくらいの時代から使われていたのかは、よくわからない。今回のものは作りの感じからそう古いものとは思えないいものの、そもそも灯明そのものを使っていたのは電気が普及する以前だろうから、少なくとも昭和初期くらいまでは遡れるのではないだろうかと思う。まあ確実な根拠はなにもないのだけどね。ちなみに鎌倉の海岸に精通したzaimokuza77さんも、よく似たものを拾われている。


          

始まったばかりの2015年、灯明が灯す火のように、ほんのりと明るく、そして温かい出来事がいっぱいあるといいね。
2014.12.10 Wednesday

日本の陶器製兵器

        
        

今週の月曜日、12月8日は太平洋戦争の開戦日。神奈川の海岸を歩いていると、その戦争の遺構や遺物に出会うことが多い。その遺物については過去にこのブログでも何度か紹介しているし、今年の3月に拾った陶製地雷の記事を覚えている方もいるだろう。実は、その記憶も新しい5月には、また別の海岸で陶製手榴弾を拾っていたのだ。地元の海岸で陶製手榴弾を拾うのはこれで3度目。写真を見るとわかる通り、石灰藻や海藻(緑藻のヒトエグサか?)に覆われているけれど、不自然に丸いので水中にあっても石との区別はついた(写真上は発見場所から移動させているし、発見時は泥も被っていた)。ものは有田産の表面無釉タイプで、大きさはソフトボールよりやや小さいくらい。そして今回もゴム製の信管付きだった。悩んだけれども仕方がないので、今回も警察に提出して処分してもらうことに。結局、今まで拾った3個のうち、最初の1個以外は所有できず。有田産には縁がない…というか、ちゃんと処理してから廃棄してくれ〜。


          

そんなこともあり、以前から気になっていたこれらの本を入手した。地元でビーチコーミングを続ける以上、旧軍遺物にはこれからも出会うことがあるだろうし、また地元に関連があるからこそ意識して拾っていきたいとも思い、しっかり勉強もしておこうと思ったのだ。旧軍関連については詳しく調べられている研究者やマニアも多く、いろいろな論文や出版物等があるけれど、陶器製兵器についてここまで詳しく紹介したものは、他に皆無だろう。これらの入手に際してはrichouken04さんと著者の1人であるY氏に大変お世話になったので、ここで改めて御礼申し上げます。



餃子は好きですか?……海山日和
2014.11.05 Wednesday

菊紋の湯飲み

            
         

今日は陸もの。姉妹ブログの海山日和によく出てくる里山散歩コースで、この春に拾ったもの。民家近くの土手にぽろっと落ちていたものだ。茶碗の半欠け、ほぼ2分の1の大きさで、高さ56ミリ、径70ミリ。パッと見て、呉須の色合いから江戸ものとわかったし、これだけの大きさの陶片に出会えるのは滅多にない。しかもこの形。半筒という形だと思うのだけど、江戸ものでこの形って、それほど多くないのでは? 少なくともフィールドで見たのは初めてだ。外側の文様は、典型的な菊紋と、菱形紋に格子(?)。おそらく4分割して対称の位置が同じ文様だったのだろう。底側の面には簡略化された植物紋らしきものが描かれている。内側は格子紋の縁取りで、見込みに五弁花(っぽいもの)。最近は保管場所の問題もあって陶片はあまり拾わないのだけど、こういう江戸陶片なら文句なしでお持ち帰りだよね。



山で白熊……海山日和
2014.10.19 Sunday

実在しない風景

       

先月の千葉行きでは、久しぶりに完品の水滴も拾えた。絵柄は以前にも拾っている皇居正門付近の風景(右側が以前に拾ったもの、今回のものは左側)。手前の二重アーチの橋は、僕自身も二重橋と勘違いしていた正門石橋。二重橋とはこの奥側にある正門鉄橋のことで、木製だった時代は橋桁が二重だったことに由来する呼び名だそうだ。背景に見えているのは旧江戸城の伏見櫓。でも、よくよく見ると今回のものは絵柄が前のものと左右が逆! 正しいものは右側の前に拾ったもので、これは画像検索すれば一目瞭然。つまり実在しない風景なのだ。それにしても水滴って、主に戦前に使われていたと思うのだけど、皇居の風景が逆版の商品なんて売ったら不敬罪に問われなかったのかな?(笑) 


         

今回のもの、上面の大きさは長辺60ミリ、短辺45ミリで、以前拾ったものより2〜3ミリ大きい。そして高さは28ミリで、5ミリほど高い。藍色も以前のは明るい色だったけれど、今回は濃い目の色という部分でも違いがある。



秋の花散歩……海山日和
2014.07.20 Sunday

明かりを灯して

        
        

すっかり放置中にも関わらず、たくさんのアクセスありがとうございます。このままでは今月更新無しになりそうなので…気力を振り絞ってとりあえず一ネタ。この春の干潟歩きで最大の成果。灯明皿の完品が出たよ! これまでに惜しい感じのものは拾っていたし、小さな欠片は時々見かけていた。でも、前にこのブログで灯明皿を紹介したのが2009年だから、実に5年の歳月を経て、やっとのことで完品と巡り会えた訳だ。さて、この灯明皿。時代は一般に江戸時代のものと言われていて、実際、同じタイプのものが江戸時代の近世遺跡から出土している。内側にある敷居に切れ込みがあるこの皿は下皿といい、これに普通の平皿タイプか、同じような形で内側の敷居に切れ込みのない上皿を載せて使う。上皿には菜種油を入れ灯心を浸して火を灯すのだが、ふたつの皿を重ねて使うのは、上皿の縁にかかった灯心から垂れる菜種油を下皿で受け止めて、油を無駄なく使う工夫なのだそうだ。でも、不思議なのは、これまでに見たり拾ったりしたのは下皿ばかりで、上皿らしいものは欠片すら拾ってないんだよね〜?


         
今回のこの灯明皿、直径は75ミリ、高さは18ミリ。海岸で見かけるのはだいたい似たようなサイズだけど、おそらくは使う場所、行灯などの大きさに合わせて、いくつかのサイズがあったのだろう。産地は美濃や瀬戸らしいけれど、詳細は不明。上面には鉄釉?がかけられていて、底面は素焼きの部分が残る。白い斑点は、海中で付着した石灰藻。さすがに縁は擦れて釉薬が剥げた部分があるが、割れ欠け、ヒビもなく、何とも麗しい一品だ。それにこの灯明皿が、可能性は感じながらも、歩き始めてからこれまでの数年、何も出なかった場所で拾えたもの、嬉しかったな(笑)


2014.04.12 Saturday

陶製のメヌマポマード

            

先月の海岸散歩で見つけた、久しぶりのメヌマポマード。発売元は戦前の大手メーカー、井田京栄堂で、ガラス瓶タイプは白ガラス、黒ガラスなど、けっこういろいろな人に拾われているようだ。しかし、陶製瓶となるとけっこうレアなものになる。このブログでは、過去に統制番号入りの陶製瓶を紹介しているけれど、今回はそれとは少し違うタイプだ。今までに拾ったものだと、材質はこの欠片に似た感じかも。前に拾ったものより、やや材質が脆いのか、置かれてきた環境がより過酷だったのか、口の周りや底の縁はボロボロ。同じタイプを陶片狂さんが拾われているけれど、同じような傷つき方なので、やはり材質の問題なのかも。大きさは底の直径64ミリ、高さ37ミリ。横にステンシル?で書かれた「MENUMA POMADE」の整った文字。統制番号など、それ以外の文字情報はなかった。


          
2013.12.07 Saturday

雄岳の野菊

        
        

六角形で直径55ミリの、簡単な料理や薬味などを入れる小鉢。これは少し前に紹介した國務大臣の杯と同じ時に拾ったものだ。ごくわずかに石灰藻が付着している程度で、傷ひとつない美品とも言える完品。でも何だか微妙〜っ(笑) 何というか陶片などをよく拾っている方ならピンと来ると思うけれど、いかにも時代が若そうな雰囲気があるのだ。でも、わずかにもしかしたら古いのかも?と思わせる感じもあるから始末が悪い。絵柄は野菊と…その横の黄色いのは小さい花が集まった花序を表しているのだろう。オミナエシとかそんなものだろうか。拾ったのが秋だし、秋の花が綺麗に咲いているとなると見捨ててもおけず、持ち帰った。高台には「久谷雄岳」の文字。ネット検索すると、同じ文字のついた器がオークションなどに出品されている。さらに調べると久谷焼きの作家・東忠雄氏(雅号が雄岳)が開いた雄岳窯陶房という窯があり、氏は現在も活躍中のようである。この小鉢がそこの作品であれば、びーちこ成果としてはちょっと悲しい現代物なわけだけど(推察すると昭和40〜50年代くらいのもの?)、好きな野菊の絵柄だし机の片隅にでも飾っておこうと思う。


         


彗星はダメだったけど……海山日和
2013.10.29 Tuesday

國務大臣

        
        

先日の南房行きで拾ってきた、直径67ミリの白磁の杯。縁に欠けもあるし、もの自体は大したものではないのだけれど、そこに記された文字が興味をそそられた。だって「國務大臣」ですよ?(笑)そして、その大臣さんは「水田三喜男」さん。ご丁寧に名前が書いてあったので、簡単にその正体は判明した。水田三喜男(1905〜1976年)は、千葉県安房郡曾呂村(現鴨川市)出身の衆議院議員。1946年に初当選し、1954年第4次吉田内閣で経済審議庁長官として初入閣、1956〜57年石橋内閣、1957年岸内閣で通商産業大臣、その後、1960〜62年池田内閣、1966〜68年第1次・第2次佐藤内閣、1971〜72年第3次佐藤内閣において大蔵大臣を歴任。なんと吉田茂や佐藤栄作と仕事をした戦後政界の大物だった(実はまったく知らなかったけど 苦笑)。またここ近年、箱根駅伝にも出場している城西大学を創立した人物でもある。


           

さてこの杯、見込みには「記念」の文字がある。表の文字からすると、水田氏が国務大臣として入閣したのを記念して、地元の後援者などに配られたものだろう。まぁ何度も大臣になってらっしゃるが、経済審議庁長官(今で言う経済担当の内閣府特命担当大臣)は国務大臣に含まれないので、それ以降の通産大臣か大蔵大臣の時のものと思われる。国務の国の字が旧字を使っていることを考えると、その字に慣れ親しんだ人がより多い頃で、しかも記念品をわざわざ作る出来事…つまり1956年の通産大臣拝命の記念品ではないだろうか。あくまで想像だけど、おかげで意外と楽しめたよ。



林下にお日さま……海山日和
2013.07.26 Friday

鳳凰の湯飲み

        

普段はあまり行かない、地元のとあるポケットビーチで見つけた銅版転写の湯飲み。高台部分に細かい傷、本体部分にニュウがあるけれど、大きな割れ、欠けはなく状態はかなりいい。作りは甘く微妙に歪んでいて、上から見るとやや楕円形なのはご愛敬。むしろ、それも魅力の1つだろう。口の長径は72ミリ、高さ36ミリ。水色の銅版転写は花唐草のような唐草(花ではなく葉っぱ)に鳳凰の文様。時代的には大正期から昭和初期くらいだろうか。この時代の茶碗がほぼ無傷で出てくるのは稀だから嬉しいね。普通の湯飲み茶碗より小さめだったのが幸いしたのかも。


         
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