2019.10.19 Saturday
台風が過ぎ去って…
近年でも稀に見る大型で強力な台風19号が通過して、1週間が経った。幸いにして当方の周辺では特に被害という被害もなく、今回は自分の住むエリアでは停電もなかった。しかし、関東甲信、そして東北地方などの各地では、大雨による災害が発生してしまった。13日に三浦半島のいくつかの海岸を回ってみたが、高波、高潮で大量の砂や石が打ち上がっているなど、やはり多少なりとも影響があったようだ。それでも、その日の海の様子からは、そんな酷い台風が通り過ぎたなんて、とても想像がつかない感じだった。
風が東寄りだったため、三浦半島西岸に打ち上がっているものは少なめで、あってもほとんどが陸由来のものだったけれど、とある海岸で1個だけルリガイ。ちょっと大きめ。
そして1枚目の写真の海岸では、久しぶりにクチグロキヌタを拾った。普段あまり真剣に貝拾いをしない自分には、拾いものの鬼門と言えるタカラガイがいくつかあって、このクチグロキヌタもそのひとつ。もともと、そんなに数の出る貝ではないと思うけれど、自分はほとんど拾ったことがない。多分、片手で足りる程度…。今回のものは表面の光沢層は失われているものの、状態は今まで拾った中でもマシな方かな。何にしても、あまり拾ったことのないものが拾えるのは、嬉しいものだよね。
2019.02.23 Saturday
夜磯観察の副産物
この冬はかなりしっかり夜磯の観察に勤しんでいる。前回の記事でも紹介しているように、今季は秋口から初冬にかけて比較的水温が高めに推移してたため、南方系の貝類が見られるなどおもしろい結果が出ている。さて今回は、前回のような珍しいものではないけれど、夜磯観察の副産物、FD(フレッシュデッド)の宝貝だ。年が明け、2月に入るとさすがに南方系タカラガイ類も限界に近づいたようで、タイドプール にちらほらと貝殻が見られるようになった。拾えるのは常連のキイロダカラ、ハナビラダカラ、ハナマルユキだ。とりあえず温帯種のメダカラガイやチャイロキヌタは手を出していない。この時期に拾えるものはFDだけに、どれも貝殻の艶がピッカピッカなのが嬉しい。
ハナマルユキはつい先日の夜磯で6個拾えた。2枚目の写真左側は昨年中に拾ったもので、まだ殻口側ができあがっていない亜成貝。右側が今回拾ったもので、すでに殻口側もできあがり、横のでっぱりも顕著になった成貝だ。成長の遅かったものは初冬の水温低下に耐えられず、昨年中に死んでしまったのだろう。昨年中に十分、成長できていたものは、とりあえず年は越せたものの、その後の水温低下には抗えなかたようだ。だいたい2月が一年で一番水温が落ちる時期。現在の水温を見ると第三管区海上保安部の海況情報では、たぶん15度前後。ただし、大気に接する潮間帯はそれ以上に水温が低い可能性が高い。キイロダカラやハナマルユキの限界水温はどのくらいなんだろうね。
2019.01.23 Wednesday
星になった姫の星
昨年の12月23日、世間様の多くがクリスマス連休に浮かれている頃、自分はひとり、三浦半島の夜の磯にいた。毎年恒例の冬の夜磯観察だ。秋から冬にかけて水温がかなり高かったせいか、今季はちょっと変わったものが観察できている。その前の大潮では、なんと相模湾での生体初報告かもしれないベニヤカタガイを見つけていたので、この大潮でもかなり期待していたのだ。全般に生きものが少ない中、出てきてくれたのがヒメホシダカラだ。三浦半島ではかなりのレアもの。もちろん初めて見たものだけど、三浦半島でも見られることを知ってから、いつかは見たい(拾いたい)と思っていたタカラガイなのだ。見つけた個体は、貝殻にまだ縞模様が残る亜成貝。南方系だけに、まだ生きてはいたものの、外套膜を展開する力はないようだった。でも、岩の天井にくっつき、引き潮に取り残されそうになっていたのを水中に戻してやると、ライトの光を避けるように岩陰に移動して行った。
年が明けて、大潮だった先週末、またまた夜磯に行き、ヒメホシダカラのいたタイドプールをチェックしてみた。最初に見つけた岩陰を探すが見当たらない。どこかに移動してしまったのかな…と思って、そのすぐ近く、昨年末にもいたガンガゼに注目したところ、なんとその手前の水底に、ヒメホシダカラの貝殻が…。前に確認した時から約1ヶ月が過ぎて、水温も下がってきていたので、きっと耐えきれなかったのだろう。ヒメホシダカラは星になってしまった。とは言え、地元初のヒメホシダカラ。しっかり貝殻は回収してきましたよ。フレッシュデッドなので、状態も最高。この時期はこうしたFDのタカラガイを拾うのも楽しみのひとつなのだけど、海から良いお年玉をもらったよ!
1月も半ばを過ぎて月末に近づいてしまいましたが、本年最初の更新です。拾うものに恵まれない限り、なかなか更新がはかどりませんが、今年もよろしくお願いいたします!
2017.08.20 Sunday
2017上半期のタカラガイ
こちらも更新が滞っていてスミマセン。こんなタイトルをつけてみたものの、内容はそれほど大したものでもなかったり…(苦笑) 最初は3月に拾ったハツユキダカラ。この貝はわりとツルピカを拾える機会が多い。でも、これはツルツルピカピカで、おそらく今まで拾った中で一番状態が良いはず。だって中身の残ったFDだったからね。色みも今まで拾った中では濃いめで、殻の両端に少し赤みが差している。ただし、殻全体の色は多少薄れてくるはずだ。
2番目は4月に拾ったウキダカラ。実は自身、地元・神奈川で拾った初めてのウキダカラだ。場所は鎌倉の材木座海岸。色みが濃くて、ちょっと焦げたような感じ。ウキダカラは葉山しおさい博物館の「三浦半島のタカラガイ2」にもしっかり載っているし、三浦半島で実際に拾っている人がいるのも知っていたが、けっこうレアだと思う。これはちょっと嬉しかったな。
最後は6月のこの日に拾ったホシキヌタ。ウミウシなどを探すのに、磯の岩陰などを探っていたら、なんと4個も見つけてしまったのだ。ただし、最後に見つけた1個はガスガスだったので、持ち帰らず海に還した。写真手前ので殻長がちょうど5センチ、ほかは気持ち小さめだが、よくも同じくらいのサイズが揃ったと思う。そう言えば冬の磯で見たホシキヌタも、同じくらいのサイズだったな。時期が時期だけにFDではなく、擦れ傷があったり、少し艶が落ちていたりはしているけれど、目的外のラッキーなお土産になった。さて、最近はすっかりものを拾わなくなっているので、ネタ切れ気味が解消できず、このブログも更新がままならないのだけど、細々とでも続けていきますよ!(笑)
2016.06.18 Saturday
サメダカラ samedakara
比較的メジャーなタカラガイなのにアップしていなかった、このサメダカラ。写真を撮り直そうと思いながら放置していたのが理由なのだけど、よ〜かんさんのリクエストに応えて写真を撮り直してアップ(笑) 最初の写真は沖縄の西表島で拾ったもの。この種では初めて拾った完璧なツルピカという記念すべき個体だった。大切にしていたのだけど、実はサメダカラは色が抜けるタカラガイ。下に小さく出ているのが以前に撮った写真。そう、以前は青みがかった淡いグレーをしていたんだよね。両端や殻口側の皺の茶色ももっと濃かった。暗所に保管しててもこれなので残念だけど、色が抜けたものは抜けたものでちょっと綺麗なのが複雑な気持ちにさせるね。
こちらは地元三浦半島で拾ったもの。パッと見ておわかりの通り、色がとても濃い。これでも若干色が抜けていて、拾った当初は黒々として、白い斑点が目立たなかったくらいだ。サメダカラの色は個体差が激しく、前述のように色が抜けるので、さまざまなバリエーションが見られる。基本的には幼貝(下写真の左斜め後ろの個体)は茶色みがつよく(殻口の皺も弱い)、成体は南のものほど白っぽいものが増えるように感じる。また表面の斑点も上の西表島産個体のようにイボ状になるものと、地元三浦半島産個体のように出っ張らず斑紋状になるものがある。三浦半島産など殻口側を見ないとシボリダカラと間違えそうなくらいだ。これも個人的な感想だけど、南のものほどイボ状になるものが多いように感じる。
ちなみに殻長は平均して20ミリ前後というところ。最大がどれくらいになるかはわからないけれど、手持ちの最少個体は最後の写真中央のもので、殻長11ミリ。これでも特徴は立派な成貝だ。
2014.02.23 Sunday
宝貝リポート13〜14
さて、みんな大好きタカラガイ。この冬はどんなかな〜という報告。ただし、この冬はあまりじっくりと海に行けていないから、かなり偏ったリポートなのだけどね。僕の場合、タカラガイは生きもの観察のついでに、磯でFDを拾うというやり方。なので、きっちり打ち上げ採集をしている人とは傾向が違う可能性もあるけど、ここ1年の生きものの傾向とは、それほどズレてないのでは?とも思う。全体の印象としては、タカラガイは少ないなぁという感じ。10〜11年冬がとても多くて、11〜12年冬は減少。12〜13年冬は諸事情でほとんど海には行っていないので詳細はわからないけど、おそらく少ない傾向が続いているのだろう。でも、この冬は11〜12年冬よりはずっとマシな感じもする。1枚目の写真はハナビラダカラで、FDはポツポツ目につく感じ。左半分は殻口はほぼ閉じているけど、模様に未成貝ぽさが残る個体だ。
2枚目はコモンダカラ。まだ未成貝だけど、サイズは37ミリで、このあたりで拾えるものとしてはいいサイズかな。ほかには拾っていないけど、低潮線より下とか、深いタイドプールの底とか拾えない場所にいくつか落ちていたのは確認している。3枚目はシボリダカラ。これは地元でもそこそこ拾える種類だけど、今回はなんか焦げ茶一色の未成貝が目についた。手前右のは、未成貝ながら殻口側はほぼ完成していて、サイズ14ミリというのは小さい方としてなかなかの記録かも。
最後はその他諸々。左はハナマルユキ、カモンダカラ、ナシジダカラ。今年はハナマルユキはメチャクチャ少ない。真ん中は定番のキイロダカラ。生貝も見ているしポツポツあるけど、ハナビラダカラより少ない印象。右はチャイロキヌタとクロダカラの未成貝。チャイロキヌタはわざわざ拾うこともないんだけど、超FDだったので(なにしろ腐りかけの中身が出ていた 笑)。その他拾っていないものでは、圧倒的に多いのがメダカラとオミナエシダカラ。タイドプールで白く目立っているのは、まずオミナエシ。まああまり期待感はないけれど、この先しばらくはFDが拾えると思うので、何か特筆するようなものが出ればまたここで報告するね。
麒麟の名を持つ魚……海山日和
2013.09.30 Monday
初めての白いの
東のはるか沖で逸れた先週の台風20号。強めの風は吹いたものの北東風で、当然ながら浜辺はきれいサッパリ。でも、小さな貝殻が描いた打ち上げ線を辿ってみたら、ちょっとおもしろいものが拾えたよ。
本当は2枚目の写真の左下にあるコメツブウニをたまたま見つけたから、ちょっと真剣になったんだ。結局はその1個とすぐ近くで見つかったボタンウニ1個のほかは、見つからなかったけどね…(泣) 小さな貝殻は、小壜などに入れて楽しむために、種類に関係なく見た目の可愛らしさで拾う。特に何かを狙っていた訳ではないのだけど殻高1cmのカミスジダカラはめっけものだ。ツルピカだし、今まで拾った中では最小だと思う。若干、螺塔の痕跡が残る亜成貝といったところ。
落ちている貝の3〜4割を占めているのでは?というほどたくさんあったのはザクロガイ。小壜用にちょっとだけ拾う。そして、そんな中に目立たず紛れていたのが最後に紹介するシラタマガイだ。地元・神奈川でも拾えることは知っていたのだけど、自分自身では初ものでこれは嬉しい☆ 大きなものが6ミリ強、小さいものが4ミリ強といったところ。殻は少し摩耗が進んでいる感じだけれど、光沢もまあまあある。シラタマガイは沖縄の黒島で拾ったものなど数十個あるんだけど、hiroimonoでは未紹介でこれが初登場だった(こんなのは紹介済み)。実はシラタマガイの仲間は和名のない種類がいくつもあるようなので、南に行ったときなどはちょっと注意したい貝でもある。それにしても可愛いなぁ(笑)
2013.02.17 Sunday
黒宝貝 kurodakara
再開第一回目は初心に戻って貝ネタから。クロダカラ(別名カスミダカラ)は地元・神奈川産タカラガイとしてはけっして多い種類ではないけれど、それでもポツポツと拾うことができる。幼貝のうちは灰白色の地に黒っぽい帯模様があるのだけれど、成長するにつれて帯模様が目立たなくなり、代わって細かい斑点模様が現れる。三浦半島などで拾えるものは、口唇の歯は揃っているけれど背面に帯模様の残る亜成貝が多い。こちらで繁殖しているのかはわからないけれど、生息状況としてはやや死滅回遊的な印象だ。大きさは最大でも殻長20ミリほど。小さくて地味めだけれど、希少性があるので拾えるとけっこう嬉しかったりする。
2012.09.07 Friday
焦げ千鳥
久しぶりの宝貝ネタ…というより貝ネタそのものが久しぶりかな? 貝殻、拾ってないもんな〜。で、今回はコゲチドリダカラ。沖縄などに行けば、チドリダカラガイの仲間はちょぼちょぼと拾えるのだけど、ツルピカにはほとんど出会っていない。特にこのコゲチドリダカラはチドリダカラガイの仲間でも出会う確率が高いにも関わらず、一皮剥けてます…という状態のものばかりだ。高く盛り上がって両端が細く突き出る貝殻は仲間に共通。本種は腹側、殻口の左右に2個ずつ計4個の斑紋があることが特徴で、背面にも斑点がある。背面中央の大きな斑紋や顆粒状の突起は、目立つものとほとんどないものがあるようだ。名前の焦げは茶色っぽい色合いに由来するんだろうけど、焦げ千鳥ってつまりは焼き鳥(タレ)ってこと?(笑)
2011.05.13 Friday
菖蒲宝貝
「ショウブダカラ」じゃなくて「アヤメダカラ」(笑) 5月になって、そんな花の季節になりました。表側は茶色に少し紫の混じったような色合いで、ほんのりとした斑紋が散らばる。そして、殻口側は見事なアヤメ色。もちろん名前の由来もここからだろう。沖縄ではぼちぼち拾えたけど、やはりツルピカはなかなか出なかった。持っているのも3〜4個くらいか。アヤメの季節に…と思いながらついついアップし忘れてかなり経つ。沖縄で拾ってるくらいだから、もう10年は昔のものだ。時が経つとともに全体に少し色が褪せた感じもするけど、そんなには悪くはなっていない。ちょっと渋めのトンボ玉みたいな雰囲気があって、けっこう好きな宝貝かも。
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