2016.07.18 Monday
ロートのM
ヤバい! 全然更新してない…。慌ててアップするものは、もう夏なので、それっぽい感じのものということで、コバルトブルーの硝子壜。ちょうど1年前くらいに拾ったコルク栓式のロート目薬だ。今年はもう硝子壜は全然拾っていないのだけど、昨年もこれと、既に紹介している「美の素」くらいだったな〜(遠い目)。コバルトブルー壜は、拾えればもちろん嬉しいのだけど、コルク栓式のロート目薬は以前にも拾っていたので、拾った当初は「ああ2本目かぁ〜」と、それほど大きな喜びはなかった。少々擦り傷はあるものの欠けや割れなどもなく、状態はまあまあだ。
そして家に帰って、手持ちの壜と比べてみて初めて気がついた。大きさが全然違うじゃん! 以前拾ったものは、高さ56ミリ、底の長径が25ミリ。今回のものは高さ67ミリ、底の長径30ミリだ。小さい方が割と寸詰まりな印象なのに対して、大きい方はけっこう安定感があるサイズに見える。底を見ると「M」のエンボス。ということは、小さい方がSサイズということだろうか。エンボス文字は同じで「本舗 山田安民」と「ロート目薬」。ただよく見ると、字体に少しずつ違いがある(「民」の字のハネとかね)。小さい方は胴寸が短い分、字体にも余裕がない感じだ。そんな小さな違いを見つけてはニヤニヤする自分って、やっぱりオタクっぽいなぁ(笑)
2016.06.09 Thursday
一点水
昨年の春に干潟で拾った両口式目薬壜。最初の写真はその発見状況だ。パッと見、ロート目薬っぽいし、それによく似た無印壜もあるので、見つけた時はそれほどピンと来なかった。でも手に取って汚れを落としてみると、しっかりとエンボス文字が! 両口式タイプでも、エンボスがあるのは比較的古いものだ。これは嬉しかったな〜。
エンボス文字は「目薬 一点水」。反対側にはメーカー名などの名前はない。早速調べてみたのだけど、得られる情報は断片的だ。とりあえずネット上では、これより古いであろうコルク栓式のコバルトブルー壜が2タイプと、エンボスがなさそうで、今回のものより新しそうな両口式が1タイプ見つかる。メーカー名は「吉永」または「東京 吉永」としかわからない。さらに調べると、この一点水を発売されたのは明治時代まで遡るようで、「吉永」とは製造販売者を始めた吉永良延と言う人物に由来するらしい。この人物、父親は幕府の役人という士族の出で神奈川県庁に勤め(後に退職)、「千草園」「千草叢誌」という雑誌のほか、「横浜名称写真案内」など多数の書物を発行する出版人であったようだ。どういういきさつで薬品製造販売に手を出したのかはわからないけれど、一点水の他に「慈強丸」という薬も販売していたらしい。そこそこの有力者ではあったようで、明治の興行師、芸術家として有名な川上音二郎の支援者の1人でもあったようだ。まあ名前のエンボスがあっても正体不明の硝子壜は数多。これだけ情報があるだけでもマシな方だね。
それにしても久しぶりの硝子ネタ。なんと半年以上も硝子ネタをアップしてなかった。もうそれだけネタ切れ…資源枯渇が深刻な状態なのだ。この目薬壜を拾った干潟も今年、護岸工事が入るらしい。近くにあった絶好のポイントも数年前に潰されたし、もはや地元で古い硝子壜は望み薄かな…。
2015.12.21 Monday
ビリビリっと効きます
昔は全国各地に目薬メーカーが星の数ほどあったようで、今でもネットなどで初見の目薬を知ることがあるし、とにかく変わった名前の目薬に出会うことがある。この目薬もそんなものの1つ。「電氣目薬」…いったいネーミングの由来はなんだろうね? まさか本当にビリビリッと効くって駄洒落? それともビリビリッと目に染みるとか? ところで、古い硝子系がお好きでこのブログを見ている人なら、電氣目薬の名前にはピンときたはず。そう、これはボトルソウドウさんからいただいたものだ。実はボトルソウドウさんがディギングで発見された国民食器のどんぶり碗に、僕がビーチコーミングで拾った国民食器のどんぶり蓋がお嫁に行き、その結納返し?引き出物?という訳なのだ。こんな貴重なものを惜しげもなく送っていただけるなんて、ボトルソウドウさんの瑠璃色発見率の高さが羨ましいっす(笑)
もう1つ、電氣目薬と一緒に送っていただいたのが、ツバメ印の神薬(中身入り)。こちらは蚤の市で購入されたものらしい。神薬はこちらでは超レアもので、今までに2回、資生堂神薬を拾っただけ。しかも、この手のタイプの神薬は、欠片すらお目に掛かったことがない。壜は淡いブルーなんだけれど、固まった中身が濃い飴色をしていて、一見するとブラウン系の壜に見える。こちらも本当に得難い貴重な資料になった。ボトルソウドウさん、ありがとうございました。
2014.09.27 Saturday
目薬は苦手です
今月初めの千葉行きの際、とある海岸で見つけたもの。骨董やディギング系のサイトなど、ネット上ではよく目にしていた組合目薬の一口タタキ点眼壜だ。なぜか今までまったくお目にかかれなかったのだけど、今回やっとゲット。それでも、ほぼ全て砂に埋もれて、見えていたのは全体のわずか数十分の1。1センチ四方も見えていなかったから、我ながらよく気がついたものだ。大きさは、長さは他の両口式点眼壜とだいたい同じ程度の75ミリで、直径が18ミリほどの円筒形。口は1つだけで、両口式のような点眼用のゴム付き口がない。使うときは壜の底?をトントンと叩いて、中の目薬を垂らしたようだ。なんかとても使いにくそうだけれど、昔から目がよくて目薬を差した経験がほとんどない僕にしてみれば(子供の頃、結膜炎になったときくらいかも)、一口でも両口でも、現代の容器でも、きっと上手く目薬を差せる自信はない(笑)
胴部分には四角囲みの中に「組合目薬」のエンボス。そして全体に3本ラインが斜めに走っている。ガラスに透けて反対側のラインも見えるから菱格子模様のようにも見えて、なかなか美しいデザインだ。壜の底?にはサクラの花形の中に「共存同栄」のエンボスがあることになっているのだけど、この壜では文字は判別不能だ。この組合目薬、戦前に全国購買組合連合会という、今の農協や生協などの母体になった組織によって販売されていたようで、同じ形で黄色っぽいガラス、濃い茶系のガラスのタイプや大きさ違いのタイプもあり、また一口タタキではない両口式壜もある。やっとこさ1本見つけたくらいじゃ、まだまだということだね。最後の写真は、同じ日に見かけた無印(たぶん大学目薬系)の両口壜とツーショット。
2013.08.03 Saturday
ゾクッと感じちゃう!
ホント毎日暑いですね。ここしばらくは天気が不安定で気温も低めだったけど、その分湿気が増しているので不快さは変わらず。しかも今月はまた猛暑予報なので、これからいったいどうしたものかと…。そんな時には背筋に悪寒が走るような話題も、暑さを忘れるためにはいいのかも。さて、ここに取りい出したるコバルトブルーの硝子小壜。これを見たそこのあなたはゾクッと来たかな? もし何かを感じたのなら、あなたは“見える”人かもしれないね。
その理由は、小壜に刻まれたエンボス文字。その文字とは、なんと「霊感目薬」! ねっ、ゾクッと来たでしょう?(笑)なんとも変わった名前のこの目薬、反対面には「配薬株式会社」とあるけれど、その正体はまったく不明。会社名からすると置き薬会社だろうか? これまでにはただ一度だけ、鎌倉でビーチコーマーのEさんが拾われたものがご自身のブログで紹介されたことがあるだけで(ブログは既に閉鎖され見られない)、壜コレクターさんなどのサイトにも登場していない。今回のものは三浦半島の某所出(ただし陸ハケもの)。鎌倉と三浦半島なので神奈川はもちろん、東京や千葉でも出そうなものだけど、聞いたことがない。手の込んだ作りの壜とインパクトの強い名前。それなのにまったく足取りもつかめない…(てか、そもそも足がない?)。雲とも霞ともつかないその正体…ほらほら、ゾクッとしてきたでしょう?
本場ものを堪能!……海山日和
2013.05.11 Saturday
壮眼水
ほぼ1年ぶりの目薬ネタ。といっても新しく拾えた訳ではなく、ストックしていたネタ(笑)で、もの自体は拾ったのが2年前かな? 嬉しいコルク栓式の目薬壜は「壮眼水」。この目薬はかなりメジャーだったようで、ネット検索でもいろいろヒットする。古い壜のコレクターさんやディギング系のブログにも出ているし、明治時代の新聞広告、時代不明だが戦前らしい広告入りの畳机、木製の広告看板、それに両口式壜などなど。それらによれば、このタイプより古い壜は、丸底首長の透明壜だったようだ。壜の反対面には発売(製造)元らしい「東京両国玉置」のエンボス。ただ、有名なわりにこのルーツがイマイチ明らかでない。エンボスにあるのは、東京両国で開業していた「本舗・玉置文治郎」らしい。でも、明治の新聞広告にある「壮眼水」は「守田寶丹水発売元、本舗・岩波長蔵」で所在地は「東京日本橋」だ。この名前で出ている新聞広告は2つ確認している。さらに、これも戦前らしいマッチ広告ラベル「カネボウ壮眼水」というのや、新聞広告らしい「本舗・薬剤師・山田一郎薬局(これも東京日本橋)」というのまで見つけてしまった。目薬の元祖「精錡水」もいろいろな類似商品(てか偽物)があったそうだから、壮眼水でも似たようなことがあったのかもね。
2012.04.30 Monday
苦節6年
硝子壜や陶器といったものは、自分のビーチコーミング歴の中では割と新参者で、拾い始めたのはこのブログを始めた頃にほぼ等しい。このブログも今年の4月で丸6年になるのだけれど、その当初からの憧れの一品というものがある。いや、あった。それが今回ご紹介するコルク栓式のロート目薬壜だ。それをついに拾うことができた。春から初夏になっても相変わらず超多忙な日々。でも、そんな中にも一瞬の間隙というものがある。つい先日、ちょうどそんなタイミングが訪れ、その日は潮の引きもよかったこともあって、ここ2年ほどこの時期にだけ足を向けているポイントに出かけてみたのだ。けっこうな雨だったけどね…(苦笑) 久しぶりの拾いものに高揚し、半ば濡れながら狭い干潟をうろついて、黒っぽい泥の上にこのコバルトブルーを見つけた時にはぶるっと身震いがした。いや、ただ単に4月のわりに気温が低かったからかも?
ロート目薬はわざわざ説明する必要もないほどのベストセラー商品。このコルク栓式の硝子壜は、発売された1909年(明治42年)から、両口式の目薬壜が登場した1931年(昭和6年)まで使われたものだ。エンボスは「ロート目薬」と「本舗山田安民」。ロートの名前は薬の処方を生んだロート・ムンド博士に因み、山田安民は発売元である当時の信天堂山田安民薬房(現ロート製薬)のこと。また壜底には四角で囲んだ「ヤ」の文字がある。(2枚目の写真は、やっと3本になった我が家のコバルトブルーの目薬壜揃い踏み)
2011.03.10 Thursday
SANTENDO 目薬
過去に既に紹介しているものだけど、千葉のびーちこ友達・むれ子さんが紹介しているので便乗(笑) 大学目薬の両口式目薬壜で、細身で茶色のタイプだ。僕は写真の通り今までに3本拾っていて、確か3本目を拾ったのは昨年後半だったか(←やや記憶ボケ気味 笑)。真ん中のものがそれで、残念だけど擦れスレで状態はイマイチ。3本あるけど、デザインもガラスの色にも特に変わったところもなく、製品壜のレベルとしてはとても安定しているようだ。
2番目は、やはりむれ子さんのところで紹介しているものに似ている黄色い両口式。こちらは今までに2本拾っていて、デザインに差はないがガラスの色の濃さに若干の違いが見られる。ただ、この壜にはむれ子さんところの壜にあるような「SANTENDO」のエンボスはない。あるのは縦のエンボス線とラベル用の窓だけだ。デザインはよく似ているので、参天堂の両口式だと思うのだけど、もしかしたら類似品ってこともあるのかも? ちなみに参天堂とは今の参天製薬の前身で、創業時は田口参天堂、その後に参天堂株式会社になり、今の会社名になったのは戦後のこと。
3枚目も参天堂の大学目薬。これはネットか何かでラベル付きを見て確認した(はず)。以前紹介しているのは右側のだけだったと思うけど、左側は少し容量の多いタイプだ。壜自体が大きいというか太い。サイズが大きいと点眼口部分も長いかと思えば、逆に短くなっているので、とってもズングリムックリなのが笑える。ロート目薬の壜が、サイズ違いはあってもデザインが統一されているのに対して、大学目薬系は壜デザインが豊富なのが特徴といえる。
2010.08.14 Saturday
観明光
2年前に千葉で拾ったコルク栓式の目薬壜。壜のデザインはよくある片面端にスポイト用のへこみがあるものだ。硝子は透明で、エンボスは「目薬 観明光」「東京北橋謹製」。海岸の岩場と堤防の間、石ころが転がるような場所にポロリと落ちていたのだけれど、状態はすこぶる良好。傷1つない。コルク栓式という点から考えて大正時代から昭和初期のものの可能性が高いが、海岸に埋もれていたとは信じられないほどだ。目薬の正体についてはよくわからない。ネットで検索しても何も引っかからない。実は少し前にお友達のむれ子さんが同じものを拾われているけれど、引っかかるのはそれくらい(笑) 身近で2つも出ているのだからマイナー品ではなさそうなんだけど、硝子壜の正体を知るのも難しいね。でも、それがわからなくても壜の魅力は何ひとつ損なうことはないよね☆
2010.06.04 Friday
澤市目薬
遡ること1ヶ月ちょい前のGW連休前半、あの海軍茶碗が出た干潟で拾ったのが、このコバルトブルーの目薬壜「澤市目薬」。口の部分が少し欠けて、多少の傷はあるものの、十分許容範囲。実はこの典型的コルク栓目薬壜で、コバルトブルーのはやっとこさ2本目(1本目はコカイン水)。広い干潟の真ん中で泥に埋もれた小さな壜。これを見つけ出すのは奇跡的だよね! だからとっても嬉しいのだ☆ この澤市目薬は千葉のhana-ikadaさんも拾われている。ほかにも千葉の人が拾っているブログ記事を見た記憶があって、なんか千葉系(←って何? 笑)のモノって気がしてたんだけど、神奈川でも出ましたね〜。反対側にはエンボスがなく、ネット上にもほとんど情報がないのだけど、まぁそれはそれ。嬉しいのでコカイン水の壜も引っ張り出して、並べて記念撮影!パシャリ☆
【追記6/6】
奈良県高市郡高取町にある壺阪寺(西国霊場第六番)は眼病封じの寺と言われ、現在もその境内で「サワイチ目薬」が売られている…という情報をネット上でキャッチ。「サワイチ」とは浄瑠璃や歌舞伎の『壺坂霊験記』の主人公である座頭の澤市のことで、妻のお里が夫の目が治るよう壺阪寺の観音様にお参りをした結果、紆余曲折を経つつも澤市の目が見えるようになり夫婦が幸せに暮らした…という話が由来となっているようです。今回の澤市目薬とサワイチ目薬が同じものかどうかは確かめていませんが、命名の由来は間違いなく『壺坂霊験記』でしょう。
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